数学I|データの分析 教材

要約

データの分析を、基本事項と例題で学び、確認問題と50回のドリルで定着させます。


1. 代表値と分布

平均値は合計/個数、中央値は並べた中央、最頻値は最も頻度の高い値です。外れ値が平均に与える影響も考えます。四分位数と箱ひげ図は中央付近の散らばりを表します。この教材では全体の中央値を除いて上下の中央値を取ります。

\[ IQR=Q_3-Q_1 \]

2. 分散と標準偏差

分散は平均からの偏差の平方の平均、標準偏差はその平方根です。ここではデータ全体の記述なので分母はnを使います。不偏分散の分母n−1とは目的が異なります。一次変換y=ax+bでは分散がa²倍になります。

\[ s^2=\frac1n\sum_{i=1}^n(x_i-\bar x)^2=\frac1n\sum_{i=1}^n x_i^2-\bar x^2 \]

3. 相関

2変数の散布図で方向・強さ・外れ値を見ます。共分散を両方の標準偏差で割ると相関係数になります。相関は直線的な関係の指標で、因果関係を単独で示しません。標準偏差が0なら相関係数は定義できません。

\[ s_{xy}=\frac1n\sum(x_i-\bar x)(y_i-\bar y),\quad r=\frac{s_{xy}}{s_xs_y},\quad -1\le r\le1 \]

4. 仮説検定の考え方

仮定が正しいとき、観測された結果以上に極端な結果がどれくらい起こるかを考えます。極端さの基準と比較する確率を先に定め、基準より十分小さいなら仮定を疑います。棄却しないことは仮定が正しいという証明ではありません。

\[ p<\alpha\Longrightarrow\text{帰無仮説を棄却(この教材の判定規約)} \]

5. 例題と解き方

例題1|平均値・中央値・最頻値

データ 2, 3, 3, 4, 5 の平均値、中央値、最頻値を求めなさい。

平均は合計÷5、中央値は昇順の3番目、最頻値は最も多く現れる値です。

\[ \boxed{\bar x=\frac{17}{5},\quad\text{中央値}=3,\quad\text{最頻値}=3} \]

例題2|分散・標準偏差

データ 1, 2, 3 の分散と標準偏差を求めなさい。

平均は2。偏差は−1,0,1なので、平方の平均が2b²/3です。標準偏差はその平方根です。

\[ \boxed{s^2=\frac{2}{3},\quad s=\frac{1\sqrt6}3} \]

例題3|四分位数と箱ひげ図

昇順データ 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8 の第1・第2・第3四分位数と四分位範囲を求めなさい。全体の中央値を除いて上下を分けます。

中央値は4番目。下の3個と上の3個のそれぞれの中央値を取り、Q₃−Q₁を計算します。

\[ \boxed{Q_1=3,\quad Q_2=5,\quad Q_3=7,\quad IQR=4} \]

例題4|データの変換

データxの平均が2、分散が1です。\(y=2x+3\)の平均と分散を求めなさい。

平均は同じ一次変換を受けます。偏差は(c+1)倍なので、分散は(c+1)²倍。平行移動は分散を変えません。

\[ \boxed{\bar y=7,\quad s_y^2=4} \]

例題5|共分散と相関係数

3組のデータ(x,y)が(2,1), (3,3), (4,5)です。共分散と相関係数を求めなさい。

平均からの偏差はxが−1,0,1、yが−2,0,2。共分散4/3、分散2/3と8/3からr=1です。

\[ \boxed{s_{xy}=\frac43,\quad r=1} \]

例題6|相関係数の計算

共分散が2、xの標準偏差が4、yの標準偏差が1です。相関係数を求めなさい。

r=共分散/(xの標準偏差×yの標準偏差)に代入します。

\[ \boxed{r=\frac12} \]

例題7|相関と因果

200人を調べたところ、運動時間と成績に正の相関がありました。これだけで「運動時間を増やせば必ず成績が上がる」と言えますか。理由も書きなさい。

相関は同時に変動する関係です。学習時間など第三の要因や個人差を検討しなければ、因果関係や『必ず』という断定はできません。

\[ \boxed{\text{言えない}} \]

例題8|仮説検定の考え方

公平なコインを7回投げ、すべて表でした。公平と仮定したときの『すべて表またはすべて裏』の確率を求め、5%基準で公平さを疑うか判断しなさい。極端さはこの2事象で定義します。

表だけでなく同程度に極端な裏だけの場合も含めます。この確率は5%未満なので、公平という仮定を疑う根拠になります。

\[ \boxed{p=\frac{1}{64},\quad\text{公平さを疑う}} \]

例題9|外れ値の判断

第1四分位数2、第3四分位数4のデータで、上側の外れ値をQ₃+1.5 IQRより大きい値と定めます。値8は外れ値ですか。

IQR=2、上側の境界=7。与えられた値は境界より1大きいので外れ値です。

\[ \boxed{\text{外れ値である}} \]

例題10|度数分布から平均

値2が1個、値4が1個あります。全データの平均を求めなさい。

値の単純平均ではなく、値×度数の合計を全度数で割ります。

\[ \boxed{3} \]

例題11|分散の別公式

2, 3, 3, 4, 5 の分散を、平方の平均−平均の平方を使って求めなさい。

まず各データの平方の平均を求め、そこから平均値の平方を引きます。分母はデータ数5です。

\[ \boxed{\frac{26}{25}} \]

例題12|検定結果の読み方

標本40件の検定で、有意水準5%に対しp値が0.12でした。『帰無仮説が正しいと証明された』と言えますか。

p値が有意水準を超えると帰無仮説を棄却しません。ただし、帰無仮説の正しさを証明したことにはなりません。

\[ \boxed{\text{言えない。帰無仮説を棄却する根拠が不足する}} \]

6. よくある間違いと解く順序

中央値は並べてから求めます。分散と標準偏差の混同、相関と因果の混同に注意します。

条件と求めるものを整理し、使う公式を選び、計算後に元の条件を満たすか確かめます。証明では理由も書きます。

確認問題

例題を隠して解き、途中式と判断の理由を書きましょう。

問題1|平均値・中央値・最頻値

データ 8, 12, 12, 16, 20 の平均値、中央値、最頻値を求めなさい。

問題2|データの変換

データxの平均が2、分散が5です。\(y=2x+7\)の平均と分散を求めなさい。

問題3|相関と因果

300人を調べたところ、運動時間と成績に正の相関がありました。これだけで「運動時間を増やせば必ず成績が上がる」と言えますか。理由も書きなさい。

問題4|度数分布から平均

値4が5個、値6が1個あります。全データの平均を求めなさい。

問題5|平均値・中央値・最頻値

データ 5, 10, 10, 15, 20 の平均値、中央値、最頻値を求めなさい。

解答・解説

解答1|平均値・中央値・最頻値

平均は合計÷5、中央値は昇順の3番目、最頻値は最も多く現れる値です。

\[ \boxed{\bar x=\frac{68}{5},\quad\text{中央値}=12,\quad\text{最頻値}=12} \]

解答2|データの変換

平均は同じ一次変換を受けます。偏差は(c+1)倍なので、分散は(c+1)²倍。平行移動は分散を変えません。

\[ \boxed{\bar y=11,\quad s_y^2=20} \]

解答3|相関と因果

相関は同時に変動する関係です。学習時間など第三の要因や個人差を検討しなければ、因果関係や『必ず』という断定はできません。

\[ \boxed{\text{言えない}} \]

解答4|度数分布から平均

値の単純平均ではなく、値×度数の合計を全度数で割ります。

\[ \boxed{\frac{13}{3}} \]

解答5|平均値・中央値・最頻値

平均は合計÷5、中央値は昇順の3番目、最頻値は最も多く現れる値です。

\[ \boxed{\bar x=12,\quad\text{中央値}=10,\quad\text{最頻値}=10} \]

まとめ

データの分析では、条件を整理して計算や証明の方法を選びます。間違えた知識ポイントを本文で復習してから、対応するドリルを解き直しましょう。

第01回へ進む / 全単元の一覧