数学C|数学的な表現の工夫(行列を含む) 教材
要約
数学的な表現の工夫(行列を含む)を、基本事項と例題で学び、確認問題と50回のドリルで定着させます。
- 推奨学年:高校2〜3年生
- 前提知識:表・グラフ、座標、四則計算
- 学習時間:本文は数回に分けて読み、ドリルは1回20分を目安にします。
全20単元の一覧
関連ドリル: - 第01回
- 第02回
- 第03回
- 第04回
- 第05回
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- 第47回
- 第48回
- 第49回
- 第50回
1. 図・表・統計グラフ
分類や数量の関係を表へ整理し、目的に合うグラフを選びます。構成比は円グラフ、推移は折れ線など、何を比べたいかを考えます。縦軸の範囲や単位で印象が変わるため、基準を明示します。
2. 離散グラフ
対象を頂点、関係を辺で表します。無向・有向、重みの有無で意味が変わります。次数は接続する辺の数で、隣接行列は直接のつながりを表します。経路の本数と距離の単位を区別します。
3. 行列で関係を表す
数を長方形へ並べ、行と列の意味をそろえて関係を表現します。この教材では必要な演算を各問題で定義し、在庫や単価との対応を考えます。成分の位置を(行,列)の順で読みます。
4. 行列の演算と発展
行列の和や実数倍は対応成分へ行います。行列積は左の行と右の列の積の和です。一般の積、逆行列、点の線形変換、隣接行列の2乗は、この教材では発展として明記します。現行課程での表現の工夫と、従来の行列単元全体を同一視しません。
5. 例題と解き方
例題1|表と行列の対応
店舗Aの商品X,Yの在庫は2,1、店舗Bは1,3です。行を店舗、列を商品として行列で表し、(2,1)成分の意味を答えなさい。
行・列の意味を固定して数を置きます。(2,1)は2行目1列目です。
例題2|行列の和:在庫集計
在庫行列A=\(\begin{pmatrix}2&1\\1&2\end{pmatrix}\)、入荷行列B=\(\begin{pmatrix}1&2\\3&4\end{pmatrix}\)です。対応成分を足す定義でA+Bを求めなさい。
同じ位置の成分を足します。行・列の分類が同じ在庫と入荷であることが必要です。
例題3|行列の実数倍
A=\(\begin{pmatrix}2&1\\1&3\end{pmatrix}\)。全成分を2倍する定義で、2Aを求めなさい。
行列の全ての成分に同じ倍率を掛けます。
例題4|行列と金額
販売個数行列\(\begin{pmatrix}2&1\\1&2\end{pmatrix}\)の行はA店,B店、列はX,Y。単価列は(1,2)です。行と列の対応する積の和で、各店の売上を求めなさい。
A店はa×c+b×(c+1)、B店はb×c+a×(c+1)。積の各行が各店舗の金額になります。
例題5|離散グラフと隣接行列
頂点A,B,Cをもつ無向グラフで、辺AB、BCがあります。各辺の移動時間は2分です。頂点順A,B,Cの隣接行列を作り、AからCへの最短移動時間を求めなさい。
直接の辺がある成分を1にします。AからCはBを経由する2辺なので2a分です。
例題6|グラフと次数
頂点4個からなる無向の輪のグラフで、隣り合う頂点を辺で結びます。各頂点の次数と辺数を求めなさい。
各頂点に2辺が接続。次数の合計2(a+2)は辺数の2倍になるので辺数はa+2です。
例題7|ネットワークの最短経路
道路AB=2km、BC=1km、AC=4kmだけがある無向ネットワークです。AからCへの最短経路と距離を求めなさい。
直行はa+b+c、B経由はa+b。c>0なのでB経由の方が短くなります。
例題8|統計グラフの選択
2種類の商品の売上構成比を、合計100%で示したいと考えます。円グラフと折れ線グラフのうち適切なものを選び、理由を書きなさい。
円グラフは全体に対する部分の割合を表します。時間とともに変わる量の推移なら折れ線グラフが向いています。
例題9|グラフの軸の読み取り
売上が200万円から201万円へ増加しました。縦軸の最小値を199万円にすると大幅な増加に見えます。増加率を求め、表示上の注意を述べなさい。
増加率は増加量b÷元の売上100a×100%。軸を途中から始めると変化が大きく見えるため、目盛りや切断を明記します。
例題10|発展:行列の積
【発展】A=\(\begin{pmatrix}1&2\\0&1\end{pmatrix}\)、B=\(\begin{pmatrix}1&0\\1&1\end{pmatrix}\)。行と列の積の和でABとBAを計算し、等しいか答えなさい。
行列の積は一般に交換できません。ここではab>0で対角成分が異なります。
例題11|発展:逆行列
【発展】A=\(\begin{pmatrix}1&2\\0&1\end{pmatrix}\)に対し、AB=BA=IとなるBを求めなさい。Iは対角成分が1で他が0の単位行列です。
非対角成分を打ち消すよう符号を変えます。両方の順序で掛けて単位行列になることを確認できます。
例題12|発展:行列による点の移動
【発展】点(2,1)の座標列に、行列\(\begin{pmatrix}0&-1\\1&0\end{pmatrix}\)を掛けます。移動後の座標と図形的な意味を求めなさい。
行列と座標列の積は(−y,x)。複素数にiを掛ける回転と同じ変換です。
例題13|発展:隣接行列の2乗
【発展】A,B,Cの全ての2頂点間に辺がある無向グラフです。各辺の長さは2km。隣接行列Mの2乗の(A,B)成分を求め、その意味を説明しなさい。
長さは辺の本数を指します。途中の頂点Cを経由するA→C→Bの1通り。距離2kmという意味ではなく、ここでの移動距離は2a kmです。
6. よくある間違いと解く順序
行・列の意味、軸の取り方、辺数としての長さと実際の距離、行列の積の順序を確認します。
条件と求めるものを整理し、使う公式を選び、計算後に元の条件を満たすか確かめます。証明では理由も書きます。
確認問題
例題を隠して解き、途中式と判断の理由を書きましょう。
問題1|表と行列の対応
店舗Aの商品X,Yの在庫は8,4、店舗Bは4,9です。行を店舗、列を商品として行列で表し、(2,1)成分の意味を答えなさい。
問題2|行列と金額
販売個数行列\(\begin{pmatrix}2&5\\5&2\end{pmatrix}\)の行はA店,B店、列はX,Y。単価列は(1,2)です。行と列の対応する積の和で、各店の売上を求めなさい。
問題3|ネットワークの最短経路
道路AB=3km、BC=5km、AC=9kmだけがある無向ネットワークです。AからCへの最短経路と距離を求めなさい。
問題4|発展:行列の積
【発展】A=\(\begin{pmatrix}1&4\\0&1\end{pmatrix}\)、B=\(\begin{pmatrix}1&0\\5&1\end{pmatrix}\)。行と列の積の和でABとBAを計算し、等しいか答えなさい。
問題5|発展:隣接行列の2乗
【発展】A,B,Cの全ての2頂点間に辺がある無向グラフです。各辺の長さは5km。隣接行列Mの2乗の(A,B)成分を求め、その意味を説明しなさい。
解答・解説
解答1|表と行列の対応
行・列の意味を固定して数を置きます。(2,1)は2行目1列目です。
解答2|行列と金額
A店はa×c+b×(c+1)、B店はb×c+a×(c+1)。積の各行が各店舗の金額になります。
解答3|ネットワークの最短経路
直行はa+b+c、B経由はa+b。c>0なのでB経由の方が短くなります。
解答4|発展:行列の積
行列の積は一般に交換できません。ここではab>0で対角成分が異なります。
解答5|発展:隣接行列の2乗
長さは辺の本数を指します。途中の頂点Cを経由するA→C→Bの1通り。距離2kmという意味ではなく、ここでの移動距離は2a kmです。
まとめ
数学的な表現の工夫(行列を含む)では、条件を整理して計算や証明の方法を選びます。間違えた知識ポイントを本文で復習してから、対応するドリルを解き直しましょう。