数学B|統計的な推測 教材
要約
統計的な推測を、基本事項と例題で学び、確認問題と50回のドリルで定着させます。
- 推奨学年:高校2年生
- 前提知識:確率、データの分析、平方根
- 学習時間:本文は数回に分けて読み、ドリルは1回20分を目安にします。
全20単元の一覧
関連ドリル: - 第01回
- 第02回
- 第03回
- 第04回
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- 第50回
1. 確率変数と分布
結果を数で表す変数が確率変数です。離散分布は各値の確率を列挙し、連続分布では区間の確率を面積で表します。平均と分散は分布の中心と散らばりを示します。
2. 正規分布
平均μ、分散σ²の正規分布をN(μ,σ²)と書きます。標準化すると平均0、分散1の標準正規分布になり、確率表を使えます。分散をそのまま分母にせず、標準偏差σで割ります。
3. 母集団と標本
推測する全体を母集団、観測した一部を標本と呼びます。標本を無作為に抽出することが代表性の土台です。独立標本の標本平均の標準偏差はσ/√nとなり、標本数が増えると小さくなります。
4. 区間推定
この教材の母平均の問題は母標準偏差が既知で、正規母集団または近似が妥当な場合を扱います。95%信頼区間は、同じ方法を繰り返して作る区間の約95%が母平均を含むという意味です。母比率の区間は十分大きい標本で正規近似します。
5. 仮説検定
帰無仮説、対立仮説、有意水準、片側か両側かを先に定めます。帰無仮説の下で標準化し、棄却域またはp値で判断します。棄却しないことは真と証明することではなく、抽出の偏りは標本数だけでは直せません。
6. 例題と解き方
例題1|確率変数と確率分布
公平なコインを2回投げ、表の回数Xを考えます。Xの確率分布の式と、X=1の確率を求めなさい。
表になる位置をk個選ぶ組合せに、各並びの確率(1/2)^aを掛けます。
例題2|離散分布の期待値・分散
Xは0を確率\(\frac{1}{3}\)、3を確率\(\frac{2}{3}\)で取ります。E(X),V(X)を求めなさい。
E(X)=ΣxP(X=x)、E(X²)=a(a+b)。V(X)=E(X²)−E(X)²=abです。
例題3|二項分布
\(X\sim B(3,\frac{2}{3})\)の期待値・分散・標準偏差を求めなさい。
二項分布の平均np、分散np(1−p)を使い、標準偏差は分散の平方根です。
例題4|正規分布と標準化
\(X\sim N(51,16)\)で、X=55に対応する標準化得点Zを求めなさい。第2引数は分散です。
Z=(X−平均)/標準偏差。第2引数の平方根sigmaで割ります。
例題5|正規分布の確率
\(X\sim N(51,16)\)。\(P(-1\le Z\le1)=0.6826\)を使い、47≤X≤55の確率を求めなさい。
両端を標準化すると−1,1です。与えられた標準正規分布の確率をそのまま使います。
例題6|母集団と標本
全校生徒200人の睡眠時間を調べるため、10人を無作為に選びます。母集団、標本、標本サイズを答えなさい。
推測したい全体が母集団、実際に調べる一部が標本です。標本サイズは標本に含まれる人数です。
例題7|標本平均の分布
母平均51、母標準偏差4の母集団から、独立に16個抽出します。標本平均の期待値と標準偏差を求めなさい。
標本平均の平均は母平均、標準偏差はsigma/√n。独立性により分散がsigma²/nになります。
例題8|母平均の区間推定
正規母集団から独立に16個を抽出し、標本平均51、既知の母標準偏差4でした。95%信頼区間を求めなさい。標準正規分布の臨界値1.96を使います。
標準誤差は4/√16=1。標本平均±1.96×標準誤差を計算します。
例題9|母比率の区間推定
無作為な独立標本400人のうち200人が賛成でした。正規近似による母比率の95%信頼区間を求めなさい。臨界値1.96を使います。
標本比率1/2、標準誤差√((1/2)(1/2)/n)=1/(20a)。1.96倍の幅を左右に取ります。
例題10|母平均の仮説検定
母平均の帰無仮説μ=51を、既知の母標準偏差4、独立標本サイズ16、標本平均54で検定します。5%両側検定の棄却域は|Z|>1.96です。結論を述べなさい。
Z=(54−51)/(4/√16)=3。3>1.96なので棄却します。対立仮説はμ≠51です。
例題11|標本サイズと精度
標本サイズを4倍にすると、母標準偏差が同じ場合に標本平均の標準誤差は何倍になりますか。
標準誤差はsigma/√nなので、nをa²倍すると1/a倍です。
例題12|標本調査の偏り
全市民20000人の交通利用を調べるため、自家用車の駐車場だけで100人に聞きました。全市民への推測にどのような問題がありますか。
標本サイズが大きくても抽出方法に偏りがあると解消しません。母集団を代表するよう無作為抽出を設計する必要があります。
例題13|信頼区間の意味
同じ方法で標本16個から95%信頼区間を繰り返し作ります。「計算後の区間に、固定した母平均が95%の確率で入る」という解釈を訂正しなさい。
母平均は固定した未知の値、標本と区間が変動します。95%は区間を作る方法の長期的な被覆率を表します。
7. よくある間違いと解く順序
Nの第2引数、標準誤差、近似の条件、信頼区間と検定の結論を確認します。
条件と求めるものを整理し、使う公式を選び、計算後に元の条件を満たすか確かめます。証明では理由も書きます。
確認問題
例題を隠して解き、途中式と判断の理由を書きましょう。
問題1|確率変数と確率分布
公平なコインを8回投げ、表の回数Xを考えます。Xの確率分布の式と、X=1の確率を求めなさい。
問題2|正規分布と標準化
\(X\sim N(51,400)\)で、X=71に対応する標準化得点Zを求めなさい。第2引数は分散です。
問題3|標本平均の分布
母平均51、母標準偏差25の母集団から、独立に25個抽出します。標本平均の期待値と標準偏差を求めなさい。
問題4|母平均の仮説検定
母平均の帰無仮説μ=51を、既知の母標準偏差30、独立標本サイズ36、標本平均66で検定します。5%両側検定の棄却域は|Z|>1.96です。結論を述べなさい。
問題5|信頼区間の意味
同じ方法で標本49個から95%信頼区間を繰り返し作ります。「計算後の区間に、固定した母平均が95%の確率で入る」という解釈を訂正しなさい。
解答・解説
解答1|確率変数と確率分布
表になる位置をk個選ぶ組合せに、各並びの確率(1/2)^aを掛けます。
解答2|正規分布と標準化
Z=(X−平均)/標準偏差。第2引数の平方根sigmaで割ります。
解答3|標本平均の分布
標本平均の平均は母平均、標準偏差はsigma/√n。独立性により分散がsigma²/nになります。
解答4|母平均の仮説検定
Z=(66−51)/(30/√36)=3。3>1.96なので棄却します。対立仮説はμ≠51です。
解答5|信頼区間の意味
母平均は固定した未知の値、標本と区間が変動します。95%は区間を作る方法の長期的な被覆率を表します。
まとめ
統計的な推測では、条件を整理して計算や証明の方法を選びます。間違えた知識ポイントを本文で復習してから、対応するドリルを解き直しましょう。