東京大学 前期・文科 数学記述模試 第010回

この回のテストポイント

試験の条件と取り組み方

この模試の演習範囲は数学I(全範囲)/数学II(全範囲)/数学A(全範囲)/数学B(数列・統計的な推測)/数学C(ベクトル)です。問題・解答は独自に作成したものです。途中式、場合分け、証明の根拠も書きなさい。

時間・配点・範囲は2027年度の公式選抜要項を確認しています(確認日:2026-10-03)。大問数と記述形式は公開試験(2026年度)を参考にした演習設計です。小問配点は本模試の採点基準です。

前の回 · 全100回の出題内容 · 次の回 · 大学別の一覧


問題

第1問 対数方程式の存在条件(20点)

\(\log_2 x+\log_2(4-x)=a\) を考える。\(a\) は実数である。

(1)真数条件を示し、実数解が存在するための必要十分条件を求めなさい。(6点)

(2)実数解の個数を場合分けして求めなさい。(6点)

(3)\(a=\log_2 3\) のとき、すべての解を求めなさい。(8点)


第2問 等周条件と三角形の面積(20点)

周の長さが \(24\) の二等辺三角形を考える。等しい2辺の長さをa、底辺の長さをbとする。

(1)底辺をaで表し、三角形が存在するaの範囲を求めなさい。(6点)

(2)面積が最大になる辺の長さと最大面積を求め、最大になる理由を示しなさい。(6点)

(3)面積が最大になる三角形の内接円の半径を求めなさい。(8点)


第3問 標本平均と片側検定・必要標本数(20点)

ある母集団の母標準偏差は \(4\) で既知とする。独立な \(64\) 個の標本の平均は \(\bar x=51\) だった。帰無仮説 \(\mu=50\)、対立仮説 \(\mu>50\) を有意水準5%で検定する。標本平均は正規分布で近似でき、標準正規分布の上側5%点は1.645、両側95%区間には1.96を使う。

(1)標本平均の標準偏差と標準化した検定統計量を求めなさい。(6点)

(2)検定の結論を、対立仮説の向きと有意水準を含めて説明しなさい。(6点)

(3)母平均の95%信頼区間の半幅を0.5以下にする最小の標本数を求めなさい。(8点)


第4問 固定点を引く漸化式と重み付きの和(20点)

\(a_1=4,\ a_{n+1}=2a_n+4\) で定まる数列を考える。

(1)適当な定数を加えて等比数列を作り、一般項を求めなさい。(6点)

(2)初項から第n項までの和を求めなさい。(6点)

(3)\(\sum_{j=1}^n a_j/2^j\) を求めなさい。(8点)


解答・解説

第1問 対数方程式の存在条件

(1)

真数条件は \(0<x<4\)。\(x(4-x)=16/4-(x-4/2)^2\) なので、この積の値域は \((0,16/4]\)。対数の底が1より大きいことを使う。

\[ \boxed{0<x<4,\quad a\le\log_2 4} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(2)

積が最大値より小さい正の値なら頂点の左右に1解ずつ、最大値なら頂点に1解、それを超えれば解はない。対数の真数条件も満たす。

\[ \boxed{a<\log_2 4:2\text{個};\quad a=\log_2 4:1\text{個};\quad a>\log_2 4:0\text{個}} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(3)

\(x(4-x)=3\) を解く。2つの解の和は \(4\)、積は右辺。得られた解が真数条件に入ることを確認する。

\[ \boxed{x=1,\ 3} \]

採点の目安:考え方と立式に4点、結論と条件の確認に4点。

第2問 等周条件と三角形の面積

(1)

\(b=24-2a\)。\(b>0\) と三角不等式 \(b<2a\) の両方を満たす必要がある。

\[ \boxed{b=24-2a,\quad 6<a<12} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(2)

底辺を二等分して高さを求めると \(S^2=12(12-a)^2(2a-12)\)。微分すると \((S^2)'=72(12-a)(8-a)\)。存在範囲で \(a=8\) の前は正、後は負。最大は正三角形のとき。

\[ \boxed{a=b=8,\quad S_{\max}=16\sqrt3} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(3)

半周長は \(12\)。内心から3辺に垂線を下ろして分割すると \(S=12r\)。

\[ \boxed{r=\frac{4}{3}\sqrt{3}} \]

採点の目安:考え方と立式に4点、結論と条件の確認に4点。

第3問 標本平均と片側検定・必要標本数

(1)

標本平均の標準偏差は

\[ \sigma/\sqrt n=4/\sqrt{64}=1/2 \]

。\(Z=(51-50)/(1/2)=2\)。

\[ \boxed{\sigma_{\bar X}=\frac12,\quad Z=2} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(2)

対立仮説は平均が大きいという片側。統計量2は上側5%点1.645を超えるため帰無仮説を棄却する。5%水準で母平均が50より大きいと判断する。帰無仮説が誤りである確率が95%という意味ではない。

\[ \boxed{\text{有意水準5\%で棄却する}} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(3)

半幅は \(1.96\sigma/\sqrt n\)。\(1.96\cdot4/\sqrt n\le0.5\) を解くと \(n\ge(3.92\cdot4)^2\)。標本数は整数なので切り上げる。

\[ \boxed{246} \]

採点の目安:考え方と立式に4点、結論と条件の確認に4点。

第4問 固定点を引く漸化式と重み付きの和

(1)

\(a_{n+1}+4=2(a_n+4)\) なので \(a_n+4=8\cdot2^{n-1}\)。

\[ \boxed{a_n=4(2^n-1)} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(2)

一般項を代入し、\(\sum_{j=1}^n2^j=2^{n+1}-2\) を使う。

\[ \boxed{S_n=4(2^{n+1}-n-2)} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(3)

\(a_j/2^j=4(1-2^{-j})\)。\(\sum_{j=1}^n2^{-j}=1-2^{-n}\) を差し引く。

\[ \boxed{4(n-1+2^{-n})} \]

採点の目安:考え方と立式に4点、結論と条件の確認に4点。