高校数学3年分 | 2 発展への橋渡し編

要約

基礎編の式・関数・図形を、新しい数と記号へ広げます。高校1年生の先取り学習を想定し、必要な定義から始めます。

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1. 基本知識

1-1. 複素数

\(i^2=-1\) を満たす数 \(i\) を虚数単位といいます。実数では解けなかった \(x^{2}+1=0\) が、複素数では \(x=\pm i\) と解けます。

1-2. 座標と直線

2点 \((x_1,y_1),(x_2,y_2)\) を結ぶ直線の傾きは、\(x_1\ne x_2\) のとき

\[ \frac{y_2-y_1}{x_2-x_1} \]

です。たとえば \((1,2),(3,6)\) を通る直線の傾きは2で、式は \(y=2x\) です。

1-3. 三角関数

三角比を直角三角形の鋭角以外にも広げたものが三角関数です。\(\sin(\theta+360^\circ)=\sin\theta\) のように、360度ごとに同じ値になります。

1-4. 指数と対数

\(2^3=8\) を「2を何乗したら8になるか」で読み直すと、\(\log_2 8=3\) です。対数の底は正で1以外、真数は正とします。

1-5. 数列

順番に並んだ数を数列といいます。\(2,5,8,11,\ldots\) は毎回3増える等差数列で、初項を \(a_1\)、公差を \(d\) とすると

\[ a_n=a_1+(n-1)d \]

です。

1-6. ベクトル

向きと大きさを持つ量がベクトルです。平面では \((2,1)+(3,-2)=(5,-1)\) のように成分ごとに足します。内積は

\[ (a,b)\cdot(c,d)=ac+bd \]

で、2つのベクトルが直交するとき内積は0です。

1-7. 微分と積分の入口

微分はグラフのその場の傾きを、積分は区間での変化を調べる方法です。多項式では、\(x^{2}\) を微分すると \(2x\)、\(2x\) を0から1まで積分すると1になります。先取り編で詳しく扱います。

1-8. 標本からの推測

全体を母集団、そこから調べた一部を標本といいます。標本50人中20人がある選択肢を選んだなら、標本割合は \(20/50=0.4\) です。母集団の割合を考える手掛かりになりますが、標本割合と必ず同じとは限りません。

1-9. 式と証明

多項式 \(f(x)\) を \(x-a\) で割った余りを \(r\) とすると、\(f(x)=(x-a)q(x)+r\) と書けます。\(x=a\) を代入すれば \(f(a)=r\) です。これを剰余の定理といいます。


2. 大切なポイント


3. 例題

例1(複素数) \((2+i)(1-i)\) を計算します。

\[ (2+i)(1-i)=2-i-i^2=\boxed{3-i} \]

例2(座標) \((1,1),(3,5)\) を通る直線は、傾き2で \(y-1=2(x-1)\)、すなわち \(y=2x-1\) です。

例3(三角関数) \(\sin150^\circ=\sin(180^\circ-30^\circ)=1/2\) です。

例4(指数・対数) \(3^x=27\) は \(27=3^3\) から \(x=3\) です。また \(\log_3 27=3\) です。

例5(数列) \(4,7,10,\ldots\) の第10項は \(4+(10-1)\cdot3=31\) です。

例6(ベクトル) \((1,2)\cdot(2,-1)=1\cdot2+2\cdot(-1)=0\) なので、2つのベクトルは直交します。

例7(微積分) \(y=x^{2}+3x\) を微分すると \(y'=2x+3\) です。\(\int_0^2x\,dx=[x^{2}/2]_0^2=2\) です。

例8(標本) 40人中12人が賛成した標本の賛成割合は \(12/40=0.3\)、つまり30%です。

例9(式と証明) \(f(x)=x^{2}-3x+4\) を \(x-2\) で割った余りは \(f(2)=4-6+4=2\) です。


4. よくある間違い


5. コツ

新しい記号が出たら、定義に戻して小さな数で試しましょう。たとえば対数は指数に、内積は成分の積と和に戻せます。


6. 確認問題

(1)\((1+i)^2\) を計算しなさい。

(2)\((0,1),(2,5)\) を通る直線の式を求めなさい。

(3)\(\cos120^\circ\) を求めなさい。

(4)\(\log_2 16\) を求めなさい。

(5)初項3、公差4の等差数列の第6項を求めなさい。

(6)\((2,3)\cdot(1,-2)\) を求めなさい。

(7)\(y=x^{2}-4x\) を微分しなさい。

(8)標本80人中24人が選んだ項目の標本割合を求めなさい。

(9)\(f(x)=x^{2}+x+1\) を \(x-2\) で割った余りを求めなさい。


7. 解答・解説

(1)\(1+2i+i^2=1+2i-1=\boxed{2i}\)。

(2)傾きは \((5-1)/(2-0)=2\) なので、\(\boxed{y=2x+1}\)。

(3)\(\cos(180^\circ-60^\circ)=-\cos60^\circ=\boxed{-\frac12}\)。

(4)\(2^4=16\) より \(\boxed{4}\)。

(5)\(3+(6-1)\cdot4=\boxed{23}\)。

(6)\(2\cdot1+3\cdot(-2)=\boxed{-4}\)。

(7)\(x^{2}\) の導関数は \(2x\)、\(-4x\) の導関数は \(-4\)。\(\boxed{y'=2x-4}\)。

(8)\(24/80=\boxed{0.3}\)、つまり \(\boxed{30\%}\) です。母集団の割合そのものと断定はできません。

(9)剰余の定理より余りは \(f(2)=4+2+1=\boxed{7}\) です。


8. まとめ

指数と対数、図形とベクトルのように、別々に見える内容にもつながりがあります。式に戻して確認すると、先取り学習を進めやすくなります。