正の式を利用した不等式の証明
要約
正の数を分母に持つ不等式は、左辺から右辺を引いて、平方の形に変形すると証明しやすくなる。
この教材では、
\[
\frac{x+1}{2}+\frac{2}{x+1}\ge 2
\]
を例に、条件の確認、平方完成、等号成立条件までを整理する。
関連ドリル: 正の式を利用した不等式の証明ドリル
1. 基本知識
不等式を証明するときは、
\[
\text{左辺}-\text{右辺}\ge 0
\]
を示す方法がよく使われる。
特に、式を
\[
\frac{(\text{何か})^2}{\text{正の数}}
\]
の形にできれば、分子は 0 以上、分母は正なので、全体が 0 以上だと分かる。
2. 重要ポイント
この問題では、
\[
x+1
\]
をひとまとまりとして見る。
x>-1 のとき、
\[
x+1>0
\]
なので、
\[
t=x+1
\]
とおくと、
\[
t>0
\]
である。
この条件確認を忘れると、分母が正であることを説明できない。
3. 具体例
t=x+1 とおく。
すると、
\[
\frac{x+1}{2}+\frac{2}{x+1} = \frac{t}{2}+\frac{2}{t}
\]
となる。
証明したい不等式は、
\[
\frac{t}{2}+\frac{2}{t}\ge 2
\]
である。
左辺から右辺を引くと、
\[
\frac{t}{2}+\frac{2}{t}-2
\]
である。
通分すると、
\[
\frac{t}{2}+\frac{2}{t}-2 = \frac{t^2+4-4t}{2t}
\]
分子を整理すると、
\[
t^2+4-4t=t^2-4t+4=(t-2)^2
\]
したがって、
\[
\frac{t}{2}+\frac{2}{t}-2 = \frac{(t-2)^2}{2t}
\]
である。
ここで、
\[
(t-2)^2\ge 0
\]
かつ t>0 より、
\[
2t>0
\]
である。
よって、
\[
\frac{(t-2)^2}{2t}\ge 0
\]
となる。
したがって、
\[
\frac{x+1}{2}+\frac{2}{x+1}\ge 2
\]
が成り立つ。
4. よくある間違い
条件を確認しない
x>-1 を確認せずに進めると、
\[
x+1>0
\]
が言えない。
分母が正であることを示すために、条件確認は必ず必要である。
等号成立条件を書かない
不等式の証明では、等号がいつ成立するかもよく問われる。
今回の式では、
\[
\frac{(t-2)^2}{2t}=0
\]
となるのは、
\[
t=2
\]
のときである。
t=x+1 なので、
\[
x=1
\]
で等号が成立する。
5. 覚え方・コツ
次の流れで書くと、証明が整理しやすい。
- 正の量を
tとおく - 左辺から右辺を引く
- 通分する
- 平方の形にする
- 分子が 0 以上、分母が正と説明する
- 等号成立条件を調べる
6. 確認問題
x>-1 のとき、次の不等式を証明せよ。
\[
\frac{x+1}{2}+\frac{2}{x+1}\ge 2
\]
また、等号成立条件を答えよ。
7. 解答・解説
t=x+1 とおく。
x>-1 より、
\[
t>0
\]
である。
左辺から右辺を引くと、
\[
\frac{t}{2}+\frac{2}{t}-2 = \frac{t^2-4t+4}{2t} = \frac{(t-2)^2}{2t}
\]
ここで、
\[
(t-2)^2\ge 0
\]
かつ、
\[
2t>0
\]
である。
したがって、
\[
\frac{(t-2)^2}{2t}\ge 0
\]
より、
\[
\frac{x+1}{2}+\frac{2}{x+1}\ge 2
\]
が成り立つ。
等号成立は、
\[
t=2
\]
のときである。
つまり、
\[
x+1=2
\]
より、
\[
x=1
\]
である。
8. まとめ
不等式の証明では、左辺から右辺を引いて 0 以上を示すと考えやすい。
今回のように、
\[
\frac{(\text{平方})}{\text{正の数}}
\]
の形にできれば、証明の見通しが立ちやすい。
条件から分母が正であることを確認し、最後に等号成立条件まで書くことが大切である。