東京大学 前期・理科 数学記述模試 第097回

この回のテストポイント

試験の条件と取り組み方

この模試の演習範囲は数学I(全範囲)/数学II(全範囲)/数学III(全範囲)/数学A(全範囲)/数学B(数列・統計的な推測)/数学C(ベクトル・平面上の曲線と複素数平面)です。問題・解答は独自に作成したものです。途中式、場合分け、証明の根拠も書きなさい。

時間・配点・範囲は2027年度の公式選抜要項を確認しています(確認日:2026-10-03)。大問数と記述形式は公開試験(2026年度)を参考にした演習設計です。小問配点は本模試の採点基準です。

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問題

第1問 定義域のある二次関数とパラメータ(20点)

\(0\le x\le 56\) で \(f_t(x)=x^2-2tx+784\) とする。\(t\) は実数である。

(1)最小値を、パラメータの範囲で場合分けして求めなさい。(6点)

(2)定義域内のすべての値で関数値が非負になる条件を求めなさい。(6点)

(3)方程式 \(f_t(x)=0\) が定義域内に異なる2つの解をもつ条件を求めなさい。(8点)


第2問 円の弦と三角形の面積の最大化(20点)

円 \\(x^2+y^2=784\\) の内部の点 \(Q(14,0)\) を通る直線が、円とA、Bで交わる。

(1)直線が鉛直のとき、2つの交点を求めなさい。(6点)

(2)直線の傾きを実数mとするとき、弦ABの長さを求めなさい。(6点)

(3)鉛直の直線も含め、原点OとA、Bでできる三角形の面積の最大値を求め、等号が成り立つ直線を示しなさい。(8点)


第3問 抽出方法と条件付き確率(20点)

袋に赤玉 \(28\) 個、青玉 \(56\) 個が入っている。すべての玉は同様に確からしく選ばれる。

(1)戻さずに2個取り出すとき、両方が赤玉である確率を求めなさい。(6点)

(2)戻さずに2個取り出し、少なくとも1個は赤玉だったと分かった。両方が赤玉である条件付き確率を求めなさい。(6点)

(3)今度は1個目を戻してから2個目を取り出す。同じ条件付き確率を求め、前問の値と比較しなさい。(8点)


第4問 逆数で線形化し差を足す(20点)

\[ a_1=1/28,\ a_{n+1}=a_n/(1+a_n) \]

で数列を定める。

(1)すべての項が正であることを確認し、一般項を求めなさい。(6点)

(2)\(\sum_{j=1}^n a_ja_{j+1}\) を求めなさい。(6点)

(3)\(\prod_{j=1}^n(1+a_j)\) を求めなさい。(8点)


第5問 区分求積と和の極限(20点)

正の整数nについて、

\[ A_n=\frac1n\sum_{j=1}^n\sqrt{28+\frac jn} \]

、

\[ B_n=\sum_{j=1}^n\frac1{28n+j} \]

とする。

(1)両方の和を、幅1/nの分割に対応する区分求積の形で説明しなさい。(6点)

(2)Aの数列の極限を求めなさい。(6点)

(3)Bの数列の極限を求めなさい。(8点)


第6問 複素数の距離条件と逆数の軌跡(20点)

複素数zが \(|z-28|=2|z+28|\) を満たす。

(1)実部と虚部を使って軌跡の方程式を求め、中心と半径を示しなさい。(6点)

(2)絶対値の最大値と最小値、およびそれらをとる複素数を求めなさい。(6点)

(3)逆数w=1/zの軌跡も求めなさい。逆数が定義できる理由を述べなさい。(8点)


解答・解説

第1問 定義域のある二次関数とパラメータ

(1)

平方完成すると \(f_t(x)=(x-t)^2+784-t^2\)。頂点が区間の左側・内部・右側にある場合に分ける。

\[ \boxed{\min f_t=\begin{cases}784&t\le0\\784-t^2&0<t<56\\3920-112t&t\ge56\end{cases}} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(2)

前問の最小値を0以上にする。内部の場合は \(-28\le t\le 28\) だが \(t>0\) との共通範囲をとる。右側の場合は条件を満たさない。

\[ \boxed{t\le28} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(3)

判別式より \(t>28\) または \(t<-28\)。解の積が正で、区間が非負なので \(t>28\) が必要。頂点が区間内にあり、\(f_t(0)>0\)、\(f_t(56)\ge0\) なら2解とも区間内。右端での値は \(3920-112t\)。

\[ \boxed{28<t\le 35} \]

採点の目安:考え方と立式に4点、結論と条件の確認に4点。

第2問 円の弦と三角形の面積の最大化

(1)

\(x=14\) を円の式に代入する。\\(y^2=588\\)。

\[ \boxed{(14,\pm 14\sqrt{3})} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(2)

直線は \(mx-y-14m=0\)。原点からの距離をdとすると \(d^2=\frac{784m^2}{4(1+m^2)}\)。弦の半分と距離と半径で直角三角形を作り、\(AB=2\sqrt{784-d^2}\)。

\[ \boxed{AB=28\sqrt{\frac{4+3m^2}{1+m^2}}} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(3)

直線がQを通るので \(0\le d\le28/2\)。面積の2乗は \(d^2(784-d^2)\)。\(s=d^2\) とおくと \(s(784-s)\) は \(0\le s\le784/4\) で増加する。距離が最大となるのは鉛直の直線。

\[ \boxed{\max S=196\sqrt{3},\quad x=14} \]

採点の目安:考え方と立式に4点、結論と条件の確認に4点。

第3問 抽出方法と条件付き確率

(1)

最初の赤の確率は1/3、2個目は \((28-1)/(84-1)\)。順序を区別しない組合せによる数え方でも一致する。

\[ \boxed{\frac{9}{83}} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(2)

少なくとも1個が赤という確率は \(1-\frac{56(56-1)}{84(84-1)}\)。両方が赤という確率をこれで割る。

\[ \boxed{\frac{27}{139}} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(3)

復元抽出では各回の赤の確率が1/3で独立。両方赤は1/9、少なくとも1個赤は5/9。比較には \(5(28-1)<140-1\) を用いる。

\[ \boxed{\frac15>\frac{27}{139}} \]

採点の目安:考え方と立式に4点、結論と条件の確認に4点。

第4問 逆数で線形化し差を足す

(1)

初項が正で、正の項から次の正の項が作られるので帰納的にすべて正。逆数をとると \(1/a_{n+1}=1/a_n+1\)。

\[ \boxed{a_n=\frac1{n+27}} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(2)

漸化式から

\[ a_j-a_{j+1}=a_j^2/(1+a_j)=a_ja_{j+1} \]

。和をとると中間の項が消える。

\[ \boxed{\frac1{28}-\frac1{n+28}=\frac{n}{28(n+28)}} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(3)

漸化式を変形すると \(1+a_j=a_j/a_{j+1}\)。積では中間の項が約分される。

\[ \boxed{\frac{n+28}{28}} \]

採点の目安:考え方と立式に4点、結論と条件の確認に4点。

第5問 区分求積と和の極限

(1)

\(A_n\) は \(f(x)=\sqrt{28+x}\)、

\[ B_n=\frac1n\sum_{j=1}^n\frac1{28+j/n} \]

は \(g(x)=1/(28+x)\) の右端の値を用いた和。両方とも区間[0,1]で連続なので定積分に収束する。

\[ \boxed{A_n\to\int_0^1f(x)\,dx,\quad B_n\to\int_0^1g(x)\,dx} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(2)

\[ \lim A_n=\int_0^1\sqrt{28+x}\,dx=[\frac23(28+x)^{3/2}]_0^1 \]

。

\[ \boxed{\frac23(29\sqrt{29}-56\sqrt{7})} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(3)

\[ \lim B_n=\int_0^1\frac1{28+x}\,dx=[\log(28+x)]_0^1 \]

。

\[ \boxed{\log\frac{29}{28}} \]

採点の目安:考え方と立式に4点、結論と条件の確認に4点。

第6問 複素数の距離条件と逆数の軌跡

(1)

\(z=x+iy\) として2乗すると \((x-28)^2+y^2=4((x+28)^2+y^2)\)。平方完成して円の式に直す。

\[ \boxed{(x+\frac{140}{3})^2+y^2=\frac{12544}{9}} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(2)

原点から中心までの距離は \(140/3\)、半径は \(112/3\)。円は原点を含まない。原点と中心を結ぶ直線上の2点で距離の極値をとる。

\[ \boxed{\max|z|=84\ (z=-84),\quad\min|z|=\frac{28}{3}\ (z=-\frac{28}{3})} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(3)

前問の最小値が正なので逆数をとれる。条件を \(|1-28w|=2|1+28w|\) に直し、同様に平方完成する。

\[ \boxed{(\operatorname{Re}w+\frac{5}{84})^2+(\operatorname{Im}w)^2=\frac{1}{441}} \]

採点の目安:考え方と立式に4点、結論と条件の確認に4点。