東京大学 前期・理科 数学記述模試 第060回
この回のテストポイント
- 第1問:対数方程式の存在条件
- 第2問:等周条件と三角形の面積
- 第3問:標本平均と片側検定・必要標本数
- 第4問:絶対値を含む面積の最適化
- 第5問:対数の評価と部分積分
- 第6問:複素数の距離条件と逆数の軌跡
試験の条件と取り組み方
この模試の演習範囲は数学I(全範囲)/数学II(全範囲)/数学III(全範囲)/数学A(全範囲)/数学B(数列・統計的な推測)/数学C(ベクトル・平面上の曲線と複素数平面)です。問題・解答は独自に作成したものです。途中式、場合分け、証明の根拠も書きなさい。
時間・配点・範囲は2027年度の公式選抜要項を確認しています(確認日:2026-10-03)。大問数と記述形式は公開試験(2026年度)を参考にした演習設計です。小問配点は本模試の採点基準です。
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問題
第1問 対数方程式の存在条件(20点)
\(\log_2 x+\log_2(10-x)=a\) を考える。\(a\) は実数である。
(1)真数条件を示し、実数解が存在するための必要十分条件を求めなさい。(6点)
(2)実数解の個数を場合分けして求めなさい。(6点)
(3)\(a=\log_2 \frac{75}{4}\) のとき、すべての解を求めなさい。(8点)
第2問 等周条件と三角形の面積(20点)
周の長さが \(60\) の二等辺三角形を考える。等しい2辺の長さをa、底辺の長さをbとする。
(1)底辺をaで表し、三角形が存在するaの範囲を求めなさい。(6点)
(2)面積が最大になる辺の長さと最大面積を求め、最大になる理由を示しなさい。(6点)
(3)面積が最大になる三角形の内接円の半径を求めなさい。(8点)
第3問 標本平均と片側検定・必要標本数(20点)
ある母集団の母標準偏差は \(10\) で既知とする。独立な \(400\) 個の標本の平均は \(\bar x=51\) だった。帰無仮説 \(\mu=50\)、対立仮説 \(\mu>50\) を有意水準5%で検定する。標本平均は正規分布で近似でき、標準正規分布の上側5%点は1.645、両側95%区間には1.96を使う。
(1)標本平均の標準偏差と標準化した検定統計量を求めなさい。(6点)
(2)検定の結論を、対立仮説の向きと有意水準を含めて説明しなさい。(6点)
(3)母平均の95%信頼区間の半幅を0.5以下にする最小の標本数を求めなさい。(8点)
第4問 絶対値を含む面積の最適化(20点)
\(0\le a\le10\) とする。\(0\le x\le10\) で、曲線 \\(y=x^2\\) と直線 \(y=ax\) の間の面積をS(a)とする。
(1)交点で区間を分け、面積をaの式で表しなさい。(6点)
(2)面積が最小になるaを求め、端点との比較を含めて説明しなさい。(6点)
(3)面積の最小値を求めなさい。(8点)
第5問 対数の評価と部分積分(20点)
自然対数を用いる。\(1\le x\le10\) において \(f(x)=(\log x)/x\) を考える。
(1)すべての \(x>0\) で \(\log x\le x-1\) を示し、等号条件を述べなさい。(6点)
(2)定義域内での関数の最大値と、それをとる値を求めなさい。(6点)
(3)
を求めなさい。(8点)
第6問 複素数の距離条件と逆数の軌跡(20点)
複素数zが \(|z-10|=2|z+10|\) を満たす。
(1)実部と虚部を使って軌跡の方程式を求め、中心と半径を示しなさい。(6点)
(2)絶対値の最大値と最小値、およびそれらをとる複素数を求めなさい。(6点)
(3)逆数w=1/zの軌跡も求めなさい。逆数が定義できる理由を述べなさい。(8点)
解答・解説
第1問 対数方程式の存在条件
(1)
真数条件は \(0<x<10\)。\(x(10-x)=100/4-(x-10/2)^2\) なので、この積の値域は \((0,100/4]\)。対数の底が1より大きいことを使う。
採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。
(2)
積が最大値より小さい正の値なら頂点の左右に1解ずつ、最大値なら頂点に1解、それを超えれば解はない。対数の真数条件も満たす。
採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。
(3)
\(x(10-x)=\frac{75}{4}\) を解く。2つの解の和は \(10\)、積は右辺。得られた解が真数条件に入ることを確認する。
採点の目安:考え方と立式に4点、結論と条件の確認に4点。
第2問 等周条件と三角形の面積
(1)
\(b=60-2a\)。\(b>0\) と三角不等式 \(b<2a\) の両方を満たす必要がある。
採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。
(2)
底辺を二等分して高さを求めると \(S^2=30(30-a)^2(2a-30)\)。微分すると \((S^2)'=180(30-a)(20-a)\)。存在範囲で \(a=20\) の前は正、後は負。最大は正三角形のとき。
採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。
(3)
半周長は \(30\)。内心から3辺に垂線を下ろして分割すると \(S=30r\)。
採点の目安:考え方と立式に4点、結論と条件の確認に4点。
第3問 標本平均と片側検定・必要標本数
(1)
標本平均の標準偏差は
。\(Z=(51-50)/(1/2)=2\)。
採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。
(2)
対立仮説は平均が大きいという片側。統計量2は上側5%点1.645を超えるため帰無仮説を棄却する。5%水準で母平均が50より大きいと判断する。帰無仮説が誤りである確率が95%という意味ではない。
採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。
(3)
半幅は \(1.96\sigma/\sqrt n\)。\(1.96\cdot10/\sqrt n\le0.5\) を解くと \(n\ge(3.92\cdot10)^2\)。標本数は整数なので切り上げる。
採点の目安:考え方と立式に4点、結論と条件の確認に4点。
第4問 絶対値を含む面積の最適化
(1)
差は \(x(a-x)\)。\(0\le x\le a\) では直線が上、\(a\le x\le10\) では曲線が上。
。
採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。
(2)
\(S'(a)=a^2-50\)。定義域内で \(a=10/\sqrt2\) の前は減少、後は増加する。よって両端よりも小さい。
採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。
(3)
前問の値を面積の式に代入し、根号を整理して分母を有理化する。
採点の目安:考え方と立式に4点、結論と条件の確認に4点。
第5問 対数の評価と部分積分
(1)
\(g(x)=x-1-\log x\) とおく。\(g'(x)=(x-1)/x\) より1の前で減少、後で増加。最小値は \(g(1)=0\)。
採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。
(2)
\(f'(x)=(1-\log x)/x^2\)。\(1<e<10\) なので、定義域内でeの前は増加、後は減少。
採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。
(3)
部分積分により原始関数は \(-(\log x+1)/x\)。上下端を代入する。
採点の目安:考え方と立式に4点、結論と条件の確認に4点。
第6問 複素数の距離条件と逆数の軌跡
(1)
\(z=x+iy\) として2乗すると \((x-10)^2+y^2=4((x+10)^2+y^2)\)。平方完成して円の式に直す。
採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。
(2)
原点から中心までの距離は \(50/3\)、半径は \(40/3\)。円は原点を含まない。原点と中心を結ぶ直線上の2点で距離の極値をとる。
採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。
(3)
前問の最小値が正なので逆数をとれる。条件を \(|1-10w|=2|1+10w|\) に直し、同様に平方完成する。
採点の目安:考え方と立式に4点、結論と条件の確認に4点。