東京大学 前期・理科 数学記述模試 第020回

この回のテストポイント

試験の条件と取り組み方

この模試の演習範囲は数学I(全範囲)/数学II(全範囲)/数学III(全範囲)/数学A(全範囲)/数学B(数列・統計的な推測)/数学C(ベクトル・平面上の曲線と複素数平面)です。問題・解答は独自に作成したものです。途中式、場合分け、証明の根拠も書きなさい。

時間・配点・範囲は2027年度の公式選抜要項を確認しています(確認日:2026-10-03)。大問数と記述形式は公開試験(2026年度)を参考にした演習設計です。小問配点は本模試の採点基準です。

前の回 · 全100回の出題内容 · 次の回 · 大学別の一覧


問題

第1問 対数方程式の存在条件(20点)

\(\log_2 x+\log_2(16-x)=a\) を考える。\(a\) は実数である。

(1)真数条件を示し、実数解が存在するための必要十分条件を求めなさい。(6点)

(2)実数解の個数を場合分けして求めなさい。(6点)

(3)\(a=\log_2 48\) のとき、すべての解を求めなさい。(8点)


第2問 等周条件と三角形の面積(20点)

周の長さが \(96\) の二等辺三角形を考える。等しい2辺の長さをa、底辺の長さをbとする。

(1)底辺をaで表し、三角形が存在するaの範囲を求めなさい。(6点)

(2)面積が最大になる辺の長さと最大面積を求め、最大になる理由を示しなさい。(6点)

(3)面積が最大になる三角形の内接円の半径を求めなさい。(8点)


第3問 標本平均と片側検定・必要標本数(20点)

ある母集団の母標準偏差は \(16\) で既知とする。独立な \(1024\) 個の標本の平均は \(\bar x=51\) だった。帰無仮説 \(\mu=50\)、対立仮説 \(\mu>50\) を有意水準5%で検定する。標本平均は正規分布で近似でき、標準正規分布の上側5%点は1.645、両側95%区間には1.96を使う。

(1)標本平均の標準偏差と標準化した検定統計量を求めなさい。(6点)

(2)検定の結論を、対立仮説の向きと有意水準を含めて説明しなさい。(6点)

(3)母平均の95%信頼区間の半幅を0.5以下にする最小の標本数を求めなさい。(8点)


第4問 絶対値を含む面積の最適化(20点)

\(0\le a\le16\) とする。\(0\le x\le16\) で、曲線 \\(y=x^2\\) と直線 \(y=ax\) の間の面積をS(a)とする。

(1)交点で区間を分け、面積をaの式で表しなさい。(6点)

(2)面積が最小になるaを求め、端点との比較を含めて説明しなさい。(6点)

(3)面積の最小値を求めなさい。(8点)


第5問 区分求積と和の極限(20点)

正の整数nについて、

\[ A_n=\frac1n\sum_{j=1}^n\sqrt{16+\frac jn} \]

、

\[ B_n=\sum_{j=1}^n\frac1{16n+j} \]

とする。

(1)両方の和を、幅1/nの分割に対応する区分求積の形で説明しなさい。(6点)

(2)Aの数列の極限を求めなさい。(6点)

(3)Bの数列の極限を求めなさい。(8点)


第6問 楕円の接線と切片・回転体(20点)

楕円

\[ \frac{x^2}{1024}+\frac{y^2}{256}=1 \]

の第1象限の点 \(P(32\cos t,16\sin t)\)、\(0<t<\pi/2\) を考える。

(1)この点での接線の方程式を求めなさい。(6点)

(2)接線と2つの座標軸でできる三角形の面積の最小値を求めなさい。(6点)

(3)楕円の内部をx軸の周りに回転させた立体の体積を求めなさい。(8点)


解答・解説

第1問 対数方程式の存在条件

(1)

真数条件は \(0<x<16\)。\(x(16-x)=256/4-(x-16/2)^2\) なので、この積の値域は \((0,256/4]\)。対数の底が1より大きいことを使う。

\[ \boxed{0<x<16,\quad a\le\log_2 64} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(2)

積が最大値より小さい正の値なら頂点の左右に1解ずつ、最大値なら頂点に1解、それを超えれば解はない。対数の真数条件も満たす。

\[ \boxed{a<\log_2 64:2\text{個};\quad a=\log_2 64:1\text{個};\quad a>\log_2 64:0\text{個}} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(3)

\(x(16-x)=48\) を解く。2つの解の和は \(16\)、積は右辺。得られた解が真数条件に入ることを確認する。

\[ \boxed{x=4,\ 12} \]

採点の目安:考え方と立式に4点、結論と条件の確認に4点。

第2問 等周条件と三角形の面積

(1)

\(b=96-2a\)。\(b>0\) と三角不等式 \(b<2a\) の両方を満たす必要がある。

\[ \boxed{b=96-2a,\quad 24<a<48} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(2)

底辺を二等分して高さを求めると \(S^2=48(48-a)^2(2a-48)\)。微分すると \((S^2)'=288(48-a)(32-a)\)。存在範囲で \(a=32\) の前は正、後は負。最大は正三角形のとき。

\[ \boxed{a=b=32,\quad S_{\max}=256\sqrt3} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(3)

半周長は \(48\)。内心から3辺に垂線を下ろして分割すると \(S=48r\)。

\[ \boxed{r=\frac{16}{3}\sqrt{3}} \]

採点の目安:考え方と立式に4点、結論と条件の確認に4点。

第3問 標本平均と片側検定・必要標本数

(1)

標本平均の標準偏差は

\[ \sigma/\sqrt n=16/\sqrt{1024}=1/2 \]

。\(Z=(51-50)/(1/2)=2\)。

\[ \boxed{\sigma_{\bar X}=\frac12,\quad Z=2} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(2)

対立仮説は平均が大きいという片側。統計量2は上側5%点1.645を超えるため帰無仮説を棄却する。5%水準で母平均が50より大きいと判断する。帰無仮説が誤りである確率が95%という意味ではない。

\[ \boxed{\text{有意水準5\%で棄却する}} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(3)

半幅は \(1.96\sigma/\sqrt n\)。\(1.96\cdot16/\sqrt n\le0.5\) を解くと \(n\ge(3.92\cdot16)^2\)。標本数は整数なので切り上げる。

\[ \boxed{3934} \]

採点の目安:考え方と立式に4点、結論と条件の確認に4点。

第4問 絶対値を含む面積の最適化

(1)

差は \(x(a-x)\)。\(0\le x\le a\) では直線が上、\(a\le x\le16\) では曲線が上。

\[ S=\int_0^a(ax-x^2)\,dx+\int_a^{16}(x^2-ax)\,dx \]

。

\[ \boxed{S(a)=\frac{a^3}3-128a+\frac{4096}{3}} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(2)

\(S'(a)=a^2-128\)。定義域内で \(a=16/\sqrt2\) の前は減少、後は増加する。よって両端よりも小さい。

\[ \boxed{a=8\sqrt{2}} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(3)

前問の値を面積の式に代入し、根号を整理して分母を有理化する。

\[ \boxed{S_{\min}=\frac{2048}{3}(2-\sqrt2)} \]

採点の目安:考え方と立式に4点、結論と条件の確認に4点。

第5問 区分求積と和の極限

(1)

\(A_n\) は \(f(x)=\sqrt{16+x}\)、

\[ B_n=\frac1n\sum_{j=1}^n\frac1{16+j/n} \]

は \(g(x)=1/(16+x)\) の右端の値を用いた和。両方とも区間[0,1]で連続なので定積分に収束する。

\[ \boxed{A_n\to\int_0^1f(x)\,dx,\quad B_n\to\int_0^1g(x)\,dx} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(2)

\[ \lim A_n=\int_0^1\sqrt{16+x}\,dx=[\frac23(16+x)^{3/2}]_0^1 \]

。

\[ \boxed{\frac23(17\sqrt{17}-64)} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(3)

\[ \lim B_n=\int_0^1\frac1{16+x}\,dx=[\log(16+x)]_0^1 \]

。

\[ \boxed{\log\frac{17}{16}} \]

採点の目安:考え方と立式に4点、結論と条件の確認に4点。

第6問 楕円の接線と切片・回転体

(1)

楕円の式を陰関数微分すると \(y'=-x/(4y)\)。Pでの傾きと点を使って接線を整理する。

\[ \boxed{\frac{x\cos t}{32}+\frac{y\sin t}{16}=1} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(2)

切片は \(32/\cos t\)、\(16/\sin t\)。面積は \(256/(\sin t\cos t)\)。\(\sin t\cos t\le1/2\)、等号は \(t=\pi/4\)。

\[ \boxed{S_{\min}=512,\quad t=\pi/4} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(3)

切り口の半径の2乗は \(256\(1-x^2/1024\)\)。\(-32\le x\le32\) で \\(\pi y^2\\) を積分する。

\[ \boxed{\frac{32768}{3}\pi} \]

採点の目安:考え方と立式に4点、結論と条件の確認に4点。