東京大学 前期・文科 数学記述模試 第073回

この回のテストポイント

試験の条件と取り組み方

この模試の演習範囲は数学I(全範囲)/数学II(全範囲)/数学A(全範囲)/数学B(数列・統計的な推測)/数学C(ベクトル)です。問題・解答は独自に作成したものです。途中式、場合分け、証明の根拠も書きなさい。

時間・配点・範囲は2027年度の公式選抜要項を確認しています(確認日:2026-10-03)。大問数と記述形式は公開試験(2026年度)を参考にした演習設計です。小問配点は本模試の採点基準です。

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問題

第1問 整数条件を積に直す(20点)

正の整数 \(x,y\) が \\(xy+32x+32y=3072\\) を満たす。

(1)左辺に適当な数を加え、2つの整数の積として表しなさい。(6点)

(2)条件を満たすすべての組を、ただし同時に交換した組は同一とし、小さい成分を先に書いて求めなさい。(6点)

(3)順序を区別する組の個数を求めなさい。(8点)


第2問 線分上の点と内積・最大最小(20点)

\(O(0,0),B(64,0),C(0,32)\) とする。Pは線分BC上を動く。

(1)Pを1つの実数パラメータで表し、その範囲を示しなさい。(6点)

(2)距離OPが最小になる点と最小距離を求めなさい。垂直性も確認しなさい。(6点)

(3)Pから2つの座標軸に垂線を下ろして作る長方形の面積の最大値を求めなさい。(8点)


第3問 標本平均と片側検定・必要標本数(20点)

ある母集団の母標準偏差は \(32\) で既知とする。独立な \(4096\) 個の標本の平均は \(\bar x=51\) だった。帰無仮説 \(\mu=50\)、対立仮説 \(\mu>50\) を有意水準5%で検定する。標本平均は正規分布で近似でき、標準正規分布の上側5%点は1.645、両側95%区間には1.96を使う。

(1)標本平均の標準偏差と標準化した検定統計量を求めなさい。(6点)

(2)検定の結論を、対立仮説の向きと有意水準を含めて説明しなさい。(6点)

(3)母平均の95%信頼区間の半幅を0.5以下にする最小の標本数を求めなさい。(8点)


第4問 逆数で線形化し差を足す(20点)

\[ a_1=1/32,\ a_{n+1}=a_n/(1+a_n) \]

で数列を定める。

(1)すべての項が正であることを確認し、一般項を求めなさい。(6点)

(2)\(\sum_{j=1}^n a_ja_{j+1}\) を求めなさい。(6点)

(3)\(\prod_{j=1}^n(1+a_j)\) を求めなさい。(8点)


解答・解説

第1問 整数条件を積に直す

(1)

両辺に \(1024\) を加えると \((x+32)(y+32)=4096\)。

\[ \boxed{(x+32)(y+32)=4096} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(2)

\(x\le y\) とおくと \(d=x+32\) は \(32<d\le 64\) を満たす \(4096\) の約数。\(y=4096/d-32\) を計算して漏れなく列挙する。

\[ \boxed{(32,32)} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(3)

前問は1組であり、対角の組は \((32,32)\) の1組だけ。それ以外は交換した組も数える。

\[ \boxed{1} \]

採点の目安:考え方と立式に4点、結論と条件の確認に4点。

第2問 線分上の点と内積・最大最小

(1)

\(P=(1-t)B+tC\) とおく。線分上なので \(0\le t\le1\)。

\[ \boxed{P=(64(1-t),32t),\quad0\le t\le1} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(2)

\[ OP^2=1024(5t^2-8t+4)=51024(t-4/5)^2+41024/5 \]

。最小のtは区間内にあり、\(\overrightarrow{BC}=(-64,32)\) とOPの内積は0。

\[ \boxed{P=(\frac{64}{5},\frac{128}{5}),\quad\min OP=\frac{64}{5}\sqrt{5}} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(3)

長方形の面積は \(2048t(1-t)=512-2048(t-1/2)^2\)。端点では面積0、内部の頂点で最大。

\[ \boxed{\max S=512,\quad P=(32,16)} \]

採点の目安:考え方と立式に4点、結論と条件の確認に4点。

第3問 標本平均と片側検定・必要標本数

(1)

標本平均の標準偏差は

\[ \sigma/\sqrt n=32/\sqrt{4096}=1/2 \]

。\(Z=(51-50)/(1/2)=2\)。

\[ \boxed{\sigma_{\bar X}=\frac12,\quad Z=2} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(2)

対立仮説は平均が大きいという片側。統計量2は上側5%点1.645を超えるため帰無仮説を棄却する。5%水準で母平均が50より大きいと判断する。帰無仮説が誤りである確率が95%という意味ではない。

\[ \boxed{\text{有意水準5\%で棄却する}} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(3)

半幅は \(1.96\sigma/\sqrt n\)。\(1.96\cdot32/\sqrt n\le0.5\) を解くと \(n\ge(3.92\cdot32)^2\)。標本数は整数なので切り上げる。

\[ \boxed{15736} \]

採点の目安:考え方と立式に4点、結論と条件の確認に4点。

第4問 逆数で線形化し差を足す

(1)

初項が正で、正の項から次の正の項が作られるので帰納的にすべて正。逆数をとると \(1/a_{n+1}=1/a_n+1\)。

\[ \boxed{a_n=\frac1{n+31}} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(2)

漸化式から

\[ a_j-a_{j+1}=a_j^2/(1+a_j)=a_ja_{j+1} \]

。和をとると中間の項が消える。

\[ \boxed{\frac1{32}-\frac1{n+32}=\frac{n}{32(n+32)}} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に3点。

(3)

漸化式を変形すると \(1+a_j=a_j/a_{j+1}\)。積では中間の項が約分される。

\[ \boxed{\frac{n+32}{32}} \]

採点の目安:考え方と立式に4点、結論と条件の確認に4点。