慶應義塾大学 理工学部 数学記述模試 第077回

この回のテストポイント

試験の条件と取り組み方

この模試の演習範囲は数学I(全範囲)/数学A(図形の性質・場合の数と確率)/数学II(全範囲)/数学B(数列)/数学C(ベクトル・平面上の曲線と複素数平面)/数学III(全範囲)です。問題・解答は独自に作成したものです。途中式、場合分け、証明の根拠も書きなさい。

大学公式の入試情報・公開問題を参照した対策用のオリジナル模試です。応用問題で、場合分け・必要十分条件・証明の記述を重視します。演習範囲・時間・大問数・満点・小問配点は本模試の設計です。実際の入試の時間・配点・出題形式を再現したものではありません。資料確認日:2026-10-04。出願時の試験条件は大学の最新募集要項で確認してください。

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問題

第1問 対数の評価と部分積分(17点)

自然対数を用いる。\(1\le x\le29\) において \(f(x)=(\log x)/x\) を考える。

(1)すべての \(x>0\) で \(\log x\le x-1\) を示し、等号条件を述べなさい。(5点)

(2)定義域内での関数の最大値と、それをとる値を求めなさい。(5点)

(3)

\[ \int_1^{29}\frac{\log x}{x^2}\,dx \]

を求めなさい。(7点)


第2問 完全順列の漸化式と固定点(17点)

\(29\) 人が各自の帽子を無作為に1個ずつ受け取る。すべての割当ては同様に確からしい。n人の誰も自分の帽子を受け取らない割当ての個数をD_nとし、\(D_0=1,D_1=0\) とする。

(1)1人目の帽子の行き先に着目し、完全順列の個数の漸化式を導きなさい。(5点)

(2)全員が自分以外の帽子を受け取る確率を求めなさい。(5点)

(3)自分の帽子を受け取った人数の期待値を求めなさい。(7点)


第3問 双曲線の接線と不変な面積(17点)

第1象限の双曲線 \\(xy=841\\) 上の点 \(P(t,841/t)\)、\(t>0\) を考える。

(1)接線の方程式と2つの軸との交点を求めなさい。(5点)

(2)接線と2つの座標軸でできる三角形の面積を求め、接点によらないことを説明しなさい。(5点)

(3)2つの正の切片の和の最小値と、そのときの接点を求めなさい。(7点)


第4問 三項間漸化式と互いに素の証明(17点)

\[ a_1=1,\ a_2=30,\ a_{n+2}=30a_{n+1}-29a_n \]

とする。

(1)隣り合う項の差に着目して一般項を求めなさい。(5点)

(2)初項から第n項までの和を求めなさい。(5点)

(3)隣り合う2項が常に互いに素であることを証明しなさい。(7点)


第5問 円の弦と三角形の面積の最大化(16点)

円 \\(x^2+y^2=841\\) の内部の点 \(Q(\frac{29}{2},0)\) を通る直線が、円とA、Bで交わる。

(1)直線が鉛直のとき、2つの交点を求めなさい。(4点)

(2)直線の傾きを実数mとするとき、弦ABの長さを求めなさい。(4点)

(3)鉛直の直線も含め、原点OとA、Bでできる三角形の面積の最大値を求め、等号が成り立つ直線を示しなさい。(8点)


第6問 対数方程式の存在条件(16点)

\(\log_2 x+\log_2(29-x)=a\) を考える。\(a\) は実数である。

(1)真数条件を示し、実数解が存在するための必要十分条件を求めなさい。(4点)

(2)実数解の個数を場合分けして求めなさい。(4点)

(3)\(a=\log_2 \frac{2523}{16}\) のとき、すべての解を求めなさい。(8点)


解答・解説

第1問 対数の評価と部分積分

(1)

\(g(x)=x-1-\log x\) とおく。\(g'(x)=(x-1)/x\) より1の前で減少、後で増加。最小値は \(g(1)=0\)。

\[ \boxed{\log x\le x-1,\quad\text{等号は }x=1} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に3点。

(2)

\(f'(x)=(1-\log x)/x^2\)。\(1<e<29\) なので、定義域内でeの前は増加、後は減少。

\[ \boxed{\max f=\frac1e,\quad x=e} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に3点。

(3)

部分積分により原始関数は \(-(\log x+1)/x\)。上下端を代入する。

\[ \boxed{1-\frac{\log29+1}{29}} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に4点。

第2問 完全順列の漸化式と固定点

(1)

1人目に渡す帽子の元の持ち主をjとする。jの選び方はn-1通り。jが1人目の帽子を受け取る場合は残りn-2人の完全順列。受け取らない場合は、1人目とjの関係を縮めたn-1人の完全順列と1対1に対応する。

\[ \boxed{D_n=(n-1)(D_{n-1}+D_{n-2})\quad(n\ge2)} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に3点。

(2)

初期値から前問の漸化式を順に計算すると

\[ D_{29}=3252702461227859257745914274516 \]

。全割当ては \(29!\) 通り。

\[ \boxed{\frac{116167945043852116348068366947}{315777214062132212662272000000}} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に3点。

(3)

人iが自分の帽子を受け取ったとき1、そうでないとき0の変数をX_iとする。\(E[X_i]=1/29\)。人数はその和であり、独立でなくても期待値は加算できる。

\[ \boxed{1} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に4点。

第3問 双曲線の接線と不変な面積

(1)

\(y=841/x\) を微分して傾きを求める。接線は \(y-841/t=-841(x-t)/t^2\)。

\[ \boxed{\frac xt+\frac{yt}{841}=2,\quad(2t,0),(0,1682/t)} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に3点。

(2)

切片は \(2t\) と \(1682/t\)。その積が \(3364\) で一定なので、面積も一定となる。

\[ \boxed{1682} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に3点。

(3)

相加相乗平均より \(2t+1682/t\ge116\)。等号は \(t=29\) のとき。

\[ \boxed{\min=116,\quad P=(29,29)} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に4点。

第4問 三項間漸化式と互いに素の証明

(1)

\[ a_{n+2}-a_{n+1}=29(a_{n+1}-a_n) \]

。初めの差は \(29\) なので \(a_{n+1}-a_n=29^n\)。初項に差の和を加える。

\[ \boxed{a_n=\frac{29^n-1}{28}} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に3点。

(2)

一般項を代入して \(1/(29-1)\) をくくり、等比数列の和と定数の和に分ける。

\[ \boxed{S_n=\frac{29(29^n-1)-28n}{784}} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に3点。

(3)

一般項から \(a_{n+1}=29a_n+1\)。2項の公約数はその差 \(a_{n+1}-29a_n=1\) を割る。

\[ \boxed{\gcd(a_n,a_{n+1})=1} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に4点。

第5問 円の弦と三角形の面積の最大化

(1)

\(x=\frac{29}{2}\) を円の式に代入する。\\(y^2=\frac{2523}{4}\\)。

\[ \boxed{(\frac{29}{2},\pm \frac{29}{2}\sqrt{3})} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に2点。

(2)

直線は \(mx-y-\frac{29}{2}m=0\)。原点からの距離をdとすると \(d^2=\frac{841m^2}{4(1+m^2)}\)。弦の半分と距離と半径で直角三角形を作り、\(AB=2\sqrt{841-d^2}\)。

\[ \boxed{AB=29\sqrt{\frac{4+3m^2}{1+m^2}}} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に2点。

(3)

直線がQを通るので \(0\le d\le29/2\)。面積の2乗は \(d^2(841-d^2)\)。\(s=d^2\) とおくと \(s(841-s)\) は \(0\le s\le841/4\) で増加する。距離が最大となるのは鉛直の直線。

\[ \boxed{\max S=\frac{841}{4}\sqrt{3},\quad x=\frac{29}{2}} \]

採点の目安:考え方と立式に4点、結論と条件の確認に4点。

第6問 対数方程式の存在条件

(1)

真数条件は \(0<x<29\)。\(x(29-x)=841/4-(x-29/2)^2\) なので、この積の値域は \((0,841/4]\)。対数の底が1より大きいことを使う。

\[ \boxed{0<x<29,\quad a\le\log_2 \frac{841}{4}} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に2点。

(2)

積が最大値より小さい正の値なら頂点の左右に1解ずつ、最大値なら頂点に1解、それを超えれば解はない。対数の真数条件も満たす。

\[ \boxed{a<\log_2 \frac{841}{4}:2\text{個};\quad a=\log_2 \frac{841}{4}:1\text{個};\quad a>\log_2 \frac{841}{4}:0\text{個}} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に2点。

(3)

\(x(29-x)=\frac{2523}{16}\) を解く。2つの解の和は \(29\)、積は右辺。得られた解が真数条件に入ることを確認する。

\[ \boxed{x=\frac{29}{4},\ \frac{87}{4}} \]

採点の目安:考え方と立式に4点、結論と条件の確認に4点。