慶應義塾大学 医学部 数学記述模試 第073回

この回のテストポイント

試験の条件と取り組み方

この模試の演習範囲は数学I(全範囲)/数学A(図形の性質・場合の数と確率)/数学II(全範囲)/数学B(数列)/数学C(ベクトル・平面上の曲線と複素数平面)/数学III(全範囲)です。問題・解答は独自に作成したものです。途中式、場合分け、証明の根拠も書きなさい。

大学公式の入試情報・公開問題を参照した対策用のオリジナル模試です。応用問題で、場合分け・必要十分条件・証明の記述を重視します。演習範囲・時間・大問数・満点・小問配点は本模試の設計です。実際の入試の時間・配点・出題形式を再現したものではありません。資料確認日:2026-10-04。出願時の試験条件は大学の最新募集要項で確認してください。

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問題

第1問 逆数で線形化し差を足す(17点)

\[ a_1=1/29,\ a_{n+1}=a_n/(1+a_n) \]

で数列を定める。

(1)すべての項が正であることを確認し、一般項を求めなさい。(5点)

(2)\(\sum_{j=1}^n a_ja_{j+1}\) を求めなさい。(5点)

(3)\(\prod_{j=1}^n(1+a_j)\) を求めなさい。(7点)


第2問 空間の垂線と四面体(17点)

空間で

\[ O(0,0,0),A(29,0,0),B(0,58,0),C(0,0,87) \]

を考える。

(1)平面ABC上の点の座標が満たす方程式を求めなさい。(5点)

(2)Oから平面ABCに下ろした垂線の足Hと距離OHを求めなさい。(5点)

(3)四面体OABCの体積を2通りに表し、三角形ABCの面積を求めなさい。(7点)


第3問 三角関数を二次関数に置き換える(17点)

\(0\le\theta\le\pi/2\) で

\[ f(\theta)=\sin\theta+29\cos2\theta \]

とする。

(1)正弦の値を新しい変数にして、二次関数で表しなさい。新しい変数の範囲も書きなさい。(5点)

(2)最大値と最小値、およびそれらをとる条件を求めなさい。(5点)

(3)開区間 \(0<\theta<\pi/2\) で \(f(\theta)=29\) を満たす角がただ1つであることを示し、正弦の値を求めなさい。(7点)


第4問 双曲線の接線と不変な面積(17点)

第1象限の双曲線 \\(xy=841\\) 上の点 \(P(t,841/t)\)、\(t>0\) を考える。

(1)接線の方程式と2つの軸との交点を求めなさい。(5点)

(2)接線と2つの座標軸でできる三角形の面積を求め、接点によらないことを説明しなさい。(5点)

(3)2つの正の切片の和の最小値と、そのときの接点を求めなさい。(7点)


第5問 停止する試行と期待値の連立(16点)

表の確率が \(1/29\)、裏の確率が \(28/29\) の硬貨を独立に投げ、初めて表が2回連続したところで止める。試行回数をTとする。

(1)2回目と3回目に初めて止まる確率をそれぞれ求めなさい。(4点)

(2)直前が表でない状態と表の状態について、残りの試行回数の期待値を連立して、Tの期待値を求めなさい。期待値が有限であることは用いてよい。(4点)

(3)表が合計2回出ればよい場合の期待値と比較し、差を求めなさい。(8点)


第6問 区分求積と和の極限(16点)

正の整数nについて、

\[ A_n=\frac1n\sum_{j=1}^n\sqrt{29+\frac jn} \]

、

\[ B_n=\sum_{j=1}^n\frac1{29n+j} \]

とする。

(1)両方の和を、幅1/nの分割に対応する区分求積の形で説明しなさい。(4点)

(2)Aの数列の極限を求めなさい。(4点)

(3)Bの数列の極限を求めなさい。(8点)


解答・解説

第1問 逆数で線形化し差を足す

(1)

初項が正で、正の項から次の正の項が作られるので帰納的にすべて正。逆数をとると \(1/a_{n+1}=1/a_n+1\)。

\[ \boxed{a_n=\frac1{n+28}} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に3点。

(2)

漸化式から

\[ a_j-a_{j+1}=a_j^2/(1+a_j)=a_ja_{j+1} \]

。和をとると中間の項が消える。

\[ \boxed{\frac1{29}-\frac1{n+29}=\frac{n}{29(n+29)}} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に3点。

(3)

漸化式を変形すると \(1+a_j=a_j/a_{j+1}\)。積では中間の項が約分される。

\[ \boxed{\frac{n+29}{29}} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に4点。

第2問 空間の垂線と四面体

(1)

平面の方程式を \(ux+vy+wz=c\) とおき、3点を代入する。係数は共通倍してよい。

\[ \boxed{6x+3y+2z=174} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に3点。

(2)

法線ベクトルは \((6,3,2)\) なので \(H=s(6,3,2)\)。平面の式への代入で \(49s=174\)。距離は \(7s\)。

\[ \boxed{H=(\frac{1044}{49},\frac{522}{49},\frac{348}{49}),\quad OH=\frac{174}{7}} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に3点。

(3)

底面OABの面積は \(841\)、Cからこの底面までの高さは \(87\) なので体積は \(24389\)。一方、ABCを底面とすると \(V=S_{ABC}\cdot OH/3\)。

\[ \boxed{\frac{5887}{2}} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に4点。

第3問 三角関数を二次関数に置き換える

(1)

\(t=\sin\theta\) とすると \(\cos2\theta=1-2t^2\)。元の角の範囲より \(0\le t\le1\)。

\[ \boxed{f=29+t-58t^2,\quad0\le t\le1} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に3点。

(2)

平方完成より

\[ f=29+\frac1{232}-58(t-\frac1{116})^2 \]

。頂点は区間内にある。上に凸の放物線なので、最小は両端を比較する。\(f(0)=29\)、\(f(1)=-28\)。

\[ \boxed{\max f=\frac{6729}{232}\ (\sin\theta=\frac1{116}),\quad\min f=-28\ (\theta=\pi/2)} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に3点。

(3)

\(t-58t^2=0\) の解は0と \(1/58\)。開区間では0を除く。正弦はこの角の区間で狭義単調増加なので、対応する角もただ1つ。

\[ \boxed{\sin\theta=\frac1{58}} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に4点。

第4問 双曲線の接線と不変な面積

(1)

\(y=841/x\) を微分して傾きを求める。接線は \(y-841/t=-841(x-t)/t^2\)。

\[ \boxed{\frac xt+\frac{yt}{841}=2,\quad(2t,0),(0,1682/t)} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に3点。

(2)

切片は \(2t\) と \(1682/t\)。その積が \(3364\) で一定なので、面積も一定となる。

\[ \boxed{1682} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に3点。

(3)

相加相乗平均より \(2t+1682/t\ge116\)。等号は \(t=29\) のとき。

\[ \boxed{\min=116,\quad P=(29,29)} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に4点。

第5問 停止する試行と期待値の連立

(1)

2回で止まる列は表表、3回で初めて止まる列は裏表表だけ。独立性により確率を掛ける。

\[ \boxed{P(T=2)=\frac{1}{841},\quad P(T=3)=\frac{28}{24389}} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に2点。

(2)

\(p=1/29,q=1-p\) とする。2状態の期待値をE、Fとすると \(E=1+qE+pF\)、\(F=1+qE\)。代入して \(p^2E=1+p\)。

\[ \boxed{870} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に2点。

(3)

1回の表までの平均は \(29\) 回なので合計2回の表までの平均は \(58\) 回。連続という条件を課すと期待値は前問の値となる。

\[ \boxed{E_{\text{合計2回}}=58,\quad\text{差}=812} \]

採点の目安:考え方と立式に4点、結論と条件の確認に4点。

第6問 区分求積と和の極限

(1)

\(A_n\) は \(f(x)=\sqrt{29+x}\)、

\[ B_n=\frac1n\sum_{j=1}^n\frac1{29+j/n} \]

は \(g(x)=1/(29+x)\) の右端の値を用いた和。両方とも区間[0,1]で連続なので定積分に収束する。

\[ \boxed{A_n\to\int_0^1f(x)\,dx,\quad B_n\to\int_0^1g(x)\,dx} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に2点。

(2)

\[ \lim A_n=\int_0^1\sqrt{29+x}\,dx=[\frac23(29+x)^{3/2}]_0^1 \]

。

\[ \boxed{\frac23(30\sqrt{30}-29\sqrt{29})} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に2点。

(3)

\[ \lim B_n=\int_0^1\frac1{29+x}\,dx=[\log(29+x)]_0^1 \]

。

\[ \boxed{\log\frac{30}{29}} \]

採点の目安:考え方と立式に4点、結論と条件の確認に4点。