東京科学大学 理工学系・前期 数学記述模試 第011回

この回のテストポイント

試験の条件と取り組み方

この模試の演習範囲は数学I(全範囲)/数学A(図形の性質・場合の数と確率)/数学II(全範囲)/数学B(数列)/数学C(ベクトル・平面上の曲線と複素数平面)/数学III(全範囲)です。問題・解答は独自に作成したものです。途中式、場合分け、証明の根拠も書きなさい。

大学公式の入試情報・公開問題を参照した対策用のオリジナル模試です。応用問題で、場合分け・必要十分条件・証明の記述を重視します。演習範囲・時間・大問数・満点・小問配点は本模試の設計です。実際の入試の時間・配点・出題形式を再現したものではありません。資料確認日:2026-10-04。出願時の試験条件は大学の最新募集要項で確認してください。

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問題

第1問 固定点を引く漸化式と重み付きの和(17点)

\(a_1=16,\ a_{n+1}=2a_n+16\) で定まる数列を考える。

(1)適当な定数を加えて等比数列を作り、一般項を求めなさい。(5点)

(2)初項から第n項までの和を求めなさい。(5点)

(3)\(\sum_{j=1}^n a_j/2^j\) を求めなさい。(7点)


第2問 定義域のある二次関数とパラメータ(17点)

\(0\le x\le 32\) で \(f_t(x)=x^2-2tx+256\) とする。\(t\) は実数である。

(1)最小値を、パラメータの範囲で場合分けして求めなさい。(5点)

(2)定義域内のすべての値で関数値が非負になる条件を求めなさい。(5点)

(3)方程式 \(f_t(x)=0\) が定義域内に異なる2つの解をもつ条件を求めなさい。(7点)


第3問 停止する試行と期待値の連立(17点)

表の確率が \(1/16\)、裏の確率が \(15/16\) の硬貨を独立に投げ、初めて表が2回連続したところで止める。試行回数をTとする。

(1)2回目と3回目に初めて止まる確率をそれぞれ求めなさい。(5点)

(2)直前が表でない状態と表の状態について、残りの試行回数の期待値を連立して、Tの期待値を求めなさい。期待値が有限であることは用いてよい。(5点)

(3)表が合計2回出ればよい場合の期待値と比較し、差を求めなさい。(7点)


第4問 円の弦と三角形の面積の最大化(17点)

円 \\(x^2+y^2=256\\) の内部の点 \(Q(8,0)\) を通る直線が、円とA、Bで交わる。

(1)直線が鉛直のとき、2つの交点を求めなさい。(5点)

(2)直線の傾きを実数mとするとき、弦ABの長さを求めなさい。(5点)

(3)鉛直の直線も含め、原点OとA、Bでできる三角形の面積の最大値を求め、等号が成り立つ直線を示しなさい。(7点)


第5問 複素数の距離条件と逆数の軌跡(16点)

複素数zが \(|z-16|=2|z+16|\) を満たす。

(1)実部と虚部を使って軌跡の方程式を求め、中心と半径を示しなさい。(4点)

(2)絶対値の最大値と最小値、およびそれらをとる複素数を求めなさい。(4点)

(3)逆数w=1/zの軌跡も求めなさい。逆数が定義できる理由を述べなさい。(8点)


第6問 区分求積と和の極限(16点)

正の整数nについて、

\[ A_n=\frac1n\sum_{j=1}^n\sqrt{16+\frac jn} \]

、

\[ B_n=\sum_{j=1}^n\frac1{16n+j} \]

とする。

(1)両方の和を、幅1/nの分割に対応する区分求積の形で説明しなさい。(4点)

(2)Aの数列の極限を求めなさい。(4点)

(3)Bの数列の極限を求めなさい。(8点)


解答・解説

第1問 固定点を引く漸化式と重み付きの和

(1)

\(a_{n+1}+16=2(a_n+16)\) なので \(a_n+16=32\cdot2^{n-1}\)。

\[ \boxed{a_n=16(2^n-1)} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に3点。

(2)

一般項を代入し、\(\sum_{j=1}^n2^j=2^{n+1}-2\) を使う。

\[ \boxed{S_n=16(2^{n+1}-n-2)} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に3点。

(3)

\(a_j/2^j=16(1-2^{-j})\)。\(\sum_{j=1}^n2^{-j}=1-2^{-n}\) を差し引く。

\[ \boxed{16(n-1+2^{-n})} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に4点。

第2問 定義域のある二次関数とパラメータ

(1)

平方完成すると \(f_t(x)=(x-t)^2+256-t^2\)。頂点が区間の左側・内部・右側にある場合に分ける。

\[ \boxed{\min f_t=\begin{cases}256&t\le0\\256-t^2&0<t<32\\1280-64t&t\ge32\end{cases}} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に3点。

(2)

前問の最小値を0以上にする。内部の場合は \(-16\le t\le 16\) だが \(t>0\) との共通範囲をとる。右側の場合は条件を満たさない。

\[ \boxed{t\le16} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に3点。

(3)

判別式より \(t>16\) または \(t<-16\)。解の積が正で、区間が非負なので \(t>16\) が必要。頂点が区間内にあり、\(f_t(0)>0\)、\(f_t(32)\ge0\) なら2解とも区間内。右端での値は \(1280-64t\)。

\[ \boxed{16<t\le 20} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に4点。

第3問 停止する試行と期待値の連立

(1)

2回で止まる列は表表、3回で初めて止まる列は裏表表だけ。独立性により確率を掛ける。

\[ \boxed{P(T=2)=\frac{1}{256},\quad P(T=3)=\frac{15}{4096}} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に3点。

(2)

\(p=1/16,q=1-p\) とする。2状態の期待値をE、Fとすると \(E=1+qE+pF\)、\(F=1+qE\)。代入して \(p^2E=1+p\)。

\[ \boxed{272} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に3点。

(3)

1回の表までの平均は \(16\) 回なので合計2回の表までの平均は \(32\) 回。連続という条件を課すと期待値は前問の値となる。

\[ \boxed{E_{\text{合計2回}}=32,\quad\text{差}=240} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に4点。

第4問 円の弦と三角形の面積の最大化

(1)

\(x=8\) を円の式に代入する。\\(y^2=192\\)。

\[ \boxed{(8,\pm 8\sqrt{3})} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に3点。

(2)

直線は \(mx-y-8m=0\)。原点からの距離をdとすると \(d^2=\frac{256m^2}{4(1+m^2)}\)。弦の半分と距離と半径で直角三角形を作り、\(AB=2\sqrt{256-d^2}\)。

\[ \boxed{AB=16\sqrt{\frac{4+3m^2}{1+m^2}}} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に3点。

(3)

直線がQを通るので \(0\le d\le16/2\)。面積の2乗は \(d^2(256-d^2)\)。\(s=d^2\) とおくと \(s(256-s)\) は \(0\le s\le256/4\) で増加する。距離が最大となるのは鉛直の直線。

\[ \boxed{\max S=64\sqrt{3},\quad x=8} \]

採点の目安:考え方と立式に3点、結論と条件の確認に4点。

第5問 複素数の距離条件と逆数の軌跡

(1)

\(z=x+iy\) として2乗すると \((x-16)^2+y^2=4((x+16)^2+y^2)\)。平方完成して円の式に直す。

\[ \boxed{(x+\frac{80}{3})^2+y^2=\frac{4096}{9}} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に2点。

(2)

原点から中心までの距離は \(80/3\)、半径は \(64/3\)。円は原点を含まない。原点と中心を結ぶ直線上の2点で距離の極値をとる。

\[ \boxed{\max|z|=48\ (z=-48),\quad\min|z|=\frac{16}{3}\ (z=-\frac{16}{3})} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に2点。

(3)

前問の最小値が正なので逆数をとれる。条件を \(|1-16w|=2|1+16w|\) に直し、同様に平方完成する。

\[ \boxed{(\operatorname{Re}w+\frac{5}{48})^2+(\operatorname{Im}w)^2=\frac{1}{144}} \]

採点の目安:考え方と立式に4点、結論と条件の確認に4点。

第6問 区分求積と和の極限

(1)

\(A_n\) は \(f(x)=\sqrt{16+x}\)、

\[ B_n=\frac1n\sum_{j=1}^n\frac1{16+j/n} \]

は \(g(x)=1/(16+x)\) の右端の値を用いた和。両方とも区間[0,1]で連続なので定積分に収束する。

\[ \boxed{A_n\to\int_0^1f(x)\,dx,\quad B_n\to\int_0^1g(x)\,dx} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に2点。

(2)

\[ \lim A_n=\int_0^1\sqrt{16+x}\,dx=[\frac23(16+x)^{3/2}]_0^1 \]

。

\[ \boxed{\frac23(17\sqrt{17}-64)} \]

採点の目安:考え方と立式に2点、結論と条件の確認に2点。

(3)

\[ \lim B_n=\int_0^1\frac1{16+x}\,dx=[\log(16+x)]_0^1 \]

。

\[ \boxed{\log\frac{17}{16}} \]

採点の目安:考え方と立式に4点、結論と条件の確認に4点。